熟睡できない原因や質の良い睡眠のための熟睡習慣とは?

睡眠のこと
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たくさん寝たのに、なんだか寝た気がしない。熟睡できなかったー。目覚めたときにそう感じた経験はありませんか?

そんなあなたのために、今回は睡眠の話題です。

健康的に生きていくうえで欠かせない睡眠ですが、日本人の約7割が睡眠に対して何らかの不満を抱えているそうです。

これは、一生のうち、約1/3もの時間を占めている睡眠時間に満足できていないのは、人生の大きな損失といえますよね。

そもそも熟睡とは?

熟睡とは、起床時に気持ちよく目覚められて、よく眠れたと満足できる睡眠のことをいいます。このような目覚めのためには、睡眠時間を十分に確保することはもちろんですが、睡眠の質を高めることが大切になります。

睡眠の質には、「睡眠休養感」と呼ばれる、主観に基づく指標があるんですね。睡眠休養感とは、夜間の睡眠によって休養が取れている感覚のことを指し、睡眠休養感が高いことは睡眠の質の高さにつながっています。

熟睡する、つまり高い睡眠休養感を得るには、ノンレム睡眠、特に徐波睡眠が多いことも重要だと考えられています。

ご存じのように、睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠に大別されます。レム睡眠は「身体の睡眠」と呼ばれ、脳は活動しており、レム睡眠中には夢をみやすいことが知られています。一方、ノンレム睡眠は「脳の睡眠」と呼ばれ、脳の活動は低下しています。

そのノンレム睡眠は、睡眠の深さ(脳波の活動性)によってステージ1~3(浅い→深い)の3段階に分けることができ、ステージ3にあたる、特に深い睡眠が「徐波睡眠」にあたります。

睡眠中にはレム睡眠とノンレム睡眠が何度か繰り返されます。その波の中で、徐波睡眠を十分に得られ、かつレム睡眠となったタイミングで目覚めると、よく眠れたと満足することが多くなるようです。

なんで熟睡が必要なのか?

睡眠の役割の一つは、日中の活動による心身の疲労を回復することです。

寝ている間に、日中の活動のために負担のかかった神経や循環器、呼吸器、運動器官等を休めるとともにメンテナンスをすることで、翌日の活動に備えているのです。

そして、睡眠には、
●疲労回復やストレス解消
●体の成長を促す
●傷ついた細胞を修復する
●記憶の定着や整理に寄与する
などの働きがあると考えられています。熟睡は、これらの働きが正常に機能するために必要なんですね。

眠りが浅くて熟睡できない日が続くことによって、疲労が蓄積してしまうだけでなく、集中力や記憶力の低下なども起きてしまいます。

なかには、よく眠れている人は、眠れていない人よりも仕事に満足している人が多いという調査結果もあるそうです。そういったことから、自身の健康や仕事効率化のためにも、睡眠の質を高め、熟睡を目指すのは重要になります。

熟睡できて、翌朝スッキリ起きられることで「若返り」にも高影響を及ぼしそうですね。

熟睡を妨げる主な原因

熟睡できないときの対策には、まず、熟睡を妨げる原因を探し出すことが必要になります。原因が一つとは限りません。

あなたの熟睡を妨げているかもしれない主な原因を挙げてみましょう!

<1.睡眠環境>
寝室の照明が明るすぎる、騒音がする、室温や湿度が適切でない、枕の高さや寝具の硬さ・重さが自分に合わない、気になる臭いがするなど。思いあたることがないか一度考えてみてください。

<2.生活習慣>
運動不足や就寝の直前の食事も熟睡を妨げます。また、よく知られていることですが、カフェインやアルコールなどの嗜好品の摂り過ぎもよくありません。その他に、空腹感が熟睡を妨げることもあります。
また、夜になってから明るい光を浴びると、概日リズムの調節に関連するメラトニンというホルモンの分泌が抑制されてしまいます。なかでも、スマートフォンなどのブルーライトは、覚醒作用がより強いといわれているため、寝る前の使用は控えるようにしましょう。

<3.加齢や性差>
歳を重ねるに従い、徐波睡眠は少なくなり、浅い睡眠が増えてきます。そのため高齢になるほど、熟睡した感じ(睡眠休養感)を得られにくくなってきます。
また、性別で比較すると、女性は性ホルモンの分泌量の変動(月経周期)に関連して、睡眠が妨げられやすいことも知られています。一般的に、黄体期(月経前の約2週間)は、睡眠が浅くなり、日中の眠気が強まることが多いようです。

<4.睡眠障害>
不眠症、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、むずむず脚症候群などの病気のために、睡眠が邪魔されて睡眠時間が減ったり、睡眠の質が低下してしまうこともあります。
※睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に呼吸が止まってしまうことでさまざまな合併症を起こす病気のこと。

<5.喘息などによるせきの症状>
喘息はアレルギーによって気管支に炎症が続く病気で、夜間や早朝に悪化しやすい特徴があります。適切な治療を継続すると、発作が治まり、健康な人と同じような生活が送れるようになります。

<6.不快な風邪症状>
喘息によるせきだけでなく、せきやたん、鼻づまりといった風邪の症状があると、熟睡が難しくなるので、症状が長引く前にしっかり対処しましょう。

質の良い眠りへいざなう熟睡習慣とは

熟睡できない主な原因に対する対策を考えてみましょう!

良くない睡眠習慣を熟睡習慣に変えて、毎朝すっきりと目覚められるようにできるといいですね。

<1.規則正しい生活習慣を意識する>
不規則な生活は睡眠を妨げる原因となります。熟睡習慣のために、まずは規則正しい生活習慣を意識するところから始めると良いでしょう。
規則正しい生活習慣を意識する際に大切なポイントは、概日リズム(サーカディアンリズム)です。人の体温やホルモン分泌などの体の基本的な機能は、約24時間の周期で繰り返していて、これを概日リズムと呼んでいます。
概日リズムは体内時計としての役割を果たしていて、睡眠や覚醒の波も概日リズムの影響を受けます。不規則な生活パターンでは概日リズムと実際の行動との時間差が大きくかけ離れてしまって、質が良く、十分な量の睡眠が得られにくくなってしまいます。
概日リズムは早朝に強い光を浴びることで、ずれ(概日リズムと実際の行動との時間差)をリセットできることがわかっています。
毎朝決まった時間に起きることを心がけ、起きたらまず、カーテンを開けて、朝日を浴びるようにしましょう。

<2.日中に適度な運動を行う>
日中の身体活動量が夜間の睡眠の質に影響を及ぼします。運動習慣がなく身体活動量が少ない人は睡眠休養感が低い、つまり熟睡しにくくなります。
反対に、日中に適度な運動を行うことは、入眠の促進(寝つきやすくなる)や中途覚醒の減少(入眠から起床の間に目覚めてしまうことが減る)につながり、睡眠時間を増やし睡眠の質を高めてくれます。

⇒運動の種類や強度
ウォーキングやジョギングのような中強度の有酸素運動は、主観的な睡眠の質、入眠潜時にゅうみんせんじ(就床から入眠までの時間)や睡眠時間、睡眠効率(横になっている時間に占める睡眠時間)を改善することが報告されています。
中強度の運動とはどの程度かというと、息が弾むもののなんとか会話ができるというくらいのレベルです。
一方、強度が過度に高い運動は、逆に睡眠を妨げる可能性があります。ですから、年齢や体調に応じて無理のない程度に軽い運動から始めて、徐々に運動強度を上げていくと良いでしょう。

⇒運動の量(時間)と時間帯
良い睡眠のためだけでなく、総合的な健康増進のために、1日60分程度の運動を習慣的に続けることが理想です。
「60分も時間を割けない」という人がいるかもしれませんが、一度にまとめてする必要はなく、途切れ途切れの運動の足し算でも構いません。
運動のタイミングについては、就寝前ではなく日中や夕方がおすすめ。そうすれば、運動後の興奮状態が寝る直前まで続いてしまうようなことを避けられます。寝る時間が近づいてきたら、運動は控えた方がよいでしょう。
なお、睡眠は体温の中でも、脳や臓器など体の中心の機能を守るために一定に保たれている「深部体温」の変化と深く関わっています。
運動をすると深部体温がいったんは上昇して、その後、全身の血液の流れが良くなることで放熱が促進されて深部体温が下がります。運動による適度な疲労感に加えて、このような体温の変化も、運動が睡眠に関係する理由の一つです。

<3.熟睡のための就寝環境を整える>
熟睡するためには、就寝環境にも気をつける必要があります。
●光
●音
●温度・湿度
●寝具
という四つの観点から理想的な就寝環境をみていきましょう。

⇒光
睡眠中は低い照度の光でも中途覚醒時間を増加させ、睡眠効率を下げることが報告されています。そのため、就寝の際にはなるべく暗くしたほうが良いと考えられます。
就寝時だけでなく就寝の前から照明を調節していくことも役立ちます。眠る時刻の約1時間前から、やや暗い暖色系の照明にしてみてください。また、もし可能なら、起床時刻の約30分前から照度を上げていくと、自然に目覚めやすくなります。例えば、寝る前にカーテンを少し開けておくといった工夫をしてみましょう。

⇒音
うるさくて眠れなかったという経験は、どなたでもお持ちでしょう。困ったことに、騒音への対策としては耳栓をすること以外、なかなか手がありません。
可能であれば、防音性能の高いサッシに変えたり、遮音カーテンを設置したりといった検討をしてみてください。なお、騒音による睡眠への影響は、「慣れ」によってある程度は弱まることが知られています。
一方、静かすぎてかえって目が冴えてしまう場合は、落ち着いた音楽を流してみると良いかもしれません。ラジオの音楽番組などでは人の会話が流れてきたタイミングで、睡眠が妨げられてしまうこともあるようなので、音楽のみとし、タイマーで自動的に切れるようにすると良いでしょう。

⇒温度・湿度
室温は、冬場は16度くらい、夏場は26~28度くらいで、布団の中の温度は30~32度くらい、湿度は50~60%くらいが良いとされています。
夏場の暑さや冬場の寒さに対してエアコンで室温や湿度を調節し、快適さが損なわれないようにしましょう。
なお、体温は日中の覚醒時に上昇し、夕方以降に低下していきます。就寝前に手足の皮膚血流が増加することで体温が外部に放散され、深部体温が低下し始めると、入眠しやすい状態となります。
このような体温の変化と睡眠との関係に着目した研究から、就寝前に体をいったん温めた後に体温が下がるタイミングを利用することで、入眠潜時が短縮することが報告されています。

⇒寝具
枕の高さや硬さを変えてみたり、寝具(パジャマやシーツ、掛け布団など)の質感を季節にあわせて変えたりしてみましょう。
夏場は通気性が良いもの、冬場は保温性の高いものを選ぶと良いでしょう。掛け布団が重すぎたり、寝返りをしたときにずれてベッドから落ちてしまうような場合は、寝具の変更も検討してみてください。

<4.食生活を見直す>
朝食を食べないと体内時計が徐々に遅れ、寝つきが悪くなり、結果として睡眠不足になりやすくなります。また朝食は体内時計のずれを修正したり、体温を高めて眠気を取り除くようにも働きます。
体温が上昇することで覚醒レベルも上がり、仕事や勉強がはかどります。朝食を欠かさないだけでなく、1日3食を規則正しく食べることも重要です。

<5.栄養面も見直す>
睡眠と関係の深い栄養素として、ビタミンB群や、アミノ酸のトリプトファン、グリシンなどが挙げられます。
ビタミンB1は、脳の重要なエネルギー源であるブドウ糖を利用する際に必要とされる栄養素で、イライラや不安を抑えたり疲労回復を促したりするように働くとされています。豚肉、うなぎ、ゴマなどに多く含まれています。
ビタミンB6はセロトニンなどの神経伝達物質の合成に関わっている栄養素です。カツオや玄米、ゴマなどに多く含まれています。
ビタミンB12は、睡眠との関連が研究されている栄養素です。しじみやあさり、のり、レバーなどに豊富に含まれているビタミンです。

寝つけないときの対処法4選

起床時にすっきりと起きられたり、熟眠感を得たりなど、睡眠の質を上げるためには、睡眠を促す体のメカニズムを理解して、睡眠を阻害する要因をなくすことが重要です。

体のリズムを整える生活習慣は、普段から継続しておかなければなりません。いま眠れない場合にできる、ちょっとした工夫を4つ紹介しておきます。

<1.アロマや音楽でリラックス>
就寝前は刺激物を避け、リラックスを心がけることが大切です。
好きな香りのアロマを焚いたり、音楽をかけると、心身がリラックスして副交感神経が優位に働き、眠気を誘いやすい状態になります。

<2.体をあたためる>
眠れないとお悩みの方は、体をあたためることも重視した方がよいでしょう。眠気は体温が下がったときに生じます。入浴によって一時的に体温を上げると、数時間かけて体温が下がってきたときに眠くなるため、就寝の2~3時間くらい前のタイミングで入浴をするのがおすすめといえます。
お風呂に入れる状況にない場合、ホットミルクやはちみつをお湯に溶かしたものなどを摂って体をあたためるのも一つです。飲み物は何でもよいですが、カフェインレスのものを選びましょう。

<3.ストレッチで体の緊張をほぐす>
10分程度のストレッチをすると、副交感神経が優位になり、リラックスできることがわかっています。
ベッドでできる手軽なストレッチで体の緊張をほぐし、入眠を促しましょう。

<4.就寝前はテレビやスマホは控える>
就寝前はテレビやスマートフォンの使用を控えるとよいとされています。スマートフォンやテレビ、蛍光灯などの強い光はメラトニンの分泌を減少させてしまうためです。
ベッドに入っても眠れないときにはダラダラとスマートフォンを見てしまいがちですが、ますます入眠が妨げられるので、最も避けていただきたい行動です。

眠りが浅い、寝つきが悪いなどの問題は、脳や身体の疲労回復が追い付かず、次の日に疲れを持ち越してしまったり、集中力を維持できなかったりとデメリットが大きいと言えるでしょう。

もし、寝つきが悪いときは、温かいドリンクを飲んだり、音楽を聴いたりしてリラックスすることを優先しましょう。

まとめ

睡眠は、ただ疲れた体と脳を休ませるためにあるわけではありません。私たちの体は、睡眠中に免疫機能を活性化したり、自律神経を整えたり、記憶を整理したりとさまざまな役割を行っています。

もし、睡眠が十分に取れずこれらの大切な働きが損なわれたら、健康を害するだけでなく、命に関わる重大な病気にかかる危険性もあります。

そのため、睡眠に異変を感じた際はなるべく早く生活習慣を見直し、満足な睡眠が取れるよう意識することが大切です。また、長期間睡眠が十分に取れていない場合は、何らかの疾患が影響している可能性があります。

一時的に思うように眠れなくなったとしても、数日で元に戻るようであれば心配はありませんが、同じような状況が数週間にわたって続くようであれば、無理に自分で対処しようとせず、速やかに医療機関に相談しましょう。