アルコール症〜こころの病気〜

 

アルコール症

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まだままだ「心の病気」は正しい理解を得られていないのが現状かと思います。誤った偏見を持ったり、「病気ではなく単なる気持ちの持ちようだ!」というようなことで解決しようとする人も少なくありません。
新たな心の病気が増えつつある「心の時代」だからこそ、心の病気に対し多くの人々が正しい理解を持ち適切に対応することが必要不可欠なことだと思います。
  【こころの病気】-アルコール症

アルコール症

飲まずにはいられない。慢性的な飲酒から精神的・身体的に障害が現れる。
アルコールを飲まずにいられなくなり、飲んだときに問題行動が現れる。


概要
アルコールをくり返し摂取していると、それなしではいられないという欲求を生み、常にアルコールのことばかり考え、追い求めるようになります。これが「アルコール症」 です。

アルコール症のタイプには、次のようなものがあります。
単純酩酊タイプ
気分が高揚し、よくしゃべる、気が大きくなる、そのうちにろれつが回らない、ふらつく、急に泣いたり、大笑いするといった、いわゆる酔っ払いの症状です。これがエスカレートすると、次の問題行動タイプに移行することがあります。
問題行動タイプ(酒乱型)
いわゆる酒乱タイプ。飲むと暴れたり、因縁をつける、からむなど、異常な行動をとります。本人は部分的に、あるいはまったく覚えていません。覚めたあとで周囲の人に酒席での行動や言動を教えられて初めて自分の醜態を知ります。
怠業タイプ
飲酒時にはたいした問題行動はありませんが、二日酔いのため翌日の約束をキャンセルする。仕事に遅刻するなどをくり返すタイプ。主婦のアルコール症を「キッチンドリンカー」呼びますが、これは飲酒のために家事や仕事ができなくなるタイプです。

アルコール症では、日常生活、社会生活、身体面の障害など、アルコールがもととなった障害が現れます。単純に「飲みたい」という欲求だけではなく、アルコー ルを飲まなくなると手の震え、せん妄、痙攣などの身体的な症状が現れ、精神、身体面の両方で、アルコールとの依存関係が形成されていきます。

既にアルコール症に陥ったあとでも、習慣的な飲酒から依存症になった節目がわからないため、アルコール依存という認識がないまま、アルコール摂取を続けます。
治療をしないままアルコール摂取を続けると、肝機能障害などの内臓疾患やアルコール性精神病へと進行します。


どんな症状
アルコール症は習慣的な飲酒と依存症との節目がわかりにくい病気です。
ここでは、飲酒パターンの例から思い当たる症状を見てみましょう。

 ・週に一度は休肝日(酒を飲まない日)を設けていたのに、ストレスがたまったり、
  気分がムシャクシャしたことなどをきっかけに、毎日飲むようになった。
 ・たとえば、日本酒2合、ウイスキーの水割り3杯程度飲むと酔っていたのに、今はそれでは酔わない。
 ・夕方になると、酒が飲みたくなりソワソワしてしまう。休日は朝から飲んでいる。
 ・飲んだときの記憶が途切れるほど深酒することがあり、そのために朝起きられず、
  約束をキャンセルする、会社を休むこともある。
 ・酒がないと不安になり、イライラしたりするため、深夜でも酒を買いに出かける。

以上の症状がある場合は、 アルコールに対して精神依存が形成されているといえます。
また、続けてアルコールを飲んだあとに中断すると、
 ・手が震える。
 ・夜眠れない。
 ・寝汗。
 ・動俸、不整脈。
 ・強迫的な飲酒への渇望といった情緒障害。
 ・イライラ感、不安感、落ち着かない。
などが現れるほか、痙攣発作にいたることもあります。こうした不快な症状は、再びアルコールを飲むことで軽くなるため、飲酒をくり返します。さらに進行すると、せん妄状態に入り、壁や床に虫や動物が這っているように見える幻視、虫が身体を這うような感覚などの幻覚症状が現れます。
アルコール症では、肝機能障害などの内臓疾患を伴うことが多いのですが、医師から禁酒を指示されているのに隠れて飲むケースも少なくありません。


対策は
毎日飲酒をくり返している人で、自分が「アルコール症 になっている」と認識している人は、まずいないといってよいでしょう。仮に「依存気味かもしれない」という認識があったにしても「いざとなればすぐにやめられる」「そんなに飲んでいないし」と、軽く考えています。
このため、アルコール症は治療のきっかけができにくく、進行してしまうのです。依存からの脱出は「断酒」です。たとえ節酒しても何かのきっかけでブレーキがかからなくなり、依存のチェーンを断ち切ることにはなりません。
断酒の自発的な実行はほとんど期待できませんから、家族などの周囲からの働きかけや、内科受診をして身体的なアルコール障害を指摘してもらう、地域の精神保健相談などを介して治療に結びつけることが望まれます。


ポイントは
アルコール症により、身体的に障害が現れる、経済的に貧困になったことなどを機に、そこから立ち直る人も多いものですが、慢性的飲酒などは、家族が気づいた時点で本人とよく相談し、専門家による酒害教育を受けることが早期回復への近道かと思います。
二日酔いで約束をキャンセルしたり会社を休む、という時に家族が代わりに嘘の理由を伝えるといったような、かばう行為も、本人のためにはなりません。家族は毅然とした態度で接するようにしましょう。


-アルコール症になる酒の量と期間-
例えば、日本酒3合、 ビール大瓶3本、ウイスキ ーのダブル4〜5杯を1年間毎日欠かさす飲み続けると、酒を飲ますにはいられない、イライラするなどの依存症状が現れます。リスクの低い酒の量は、日本酒な1合以下、ビールなら大瓶1本以下、ウイスキーならシングルで1杯程度。
しかし、いくら適量でも、休肝日をもうけずに毎日飲み続ければ、依存症になりやすくなります。

-アルコール中毒-
かつて絶えず酒を飲み、種々の問題行動を起こす人を「アルコール中毒」と呼んでいました。
しかし現在では、一気飲みなどで急激な中毒症状が現れる「急性アルコール中毒」の場合のみ、この言葉を用いるようです。

 
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