精神療法〜こころの病気〜

 

精神療法

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精神科の治療として、薬物療法、精神療法、リハビリテーション、養生法などがあります。これらの治療法を、病気の種類や病状、病気の段階と経過、患者さんの個人的な要素や周囲の環境などに照らしながら組み合わせて、治療を進めていきます。
       
  【こころの病気】-精神療法

精神療法、心理療法

心の病気の治療には、薬物療法と平行して行われる精神療法が不可欠です。
精神療法とは、主に言葉による治療法であり、患者さんが治療者(精神科医やカウンセラー)の前で自らの内面を語り、治療者がそれを受容し支持していくことによって、心の問題が徐々に軽減されていくような心に働きかける治療法といって良いでしょう。

言葉などを媒介として治療者と患者の人間関係を用い心理的な問題の洞察・分析をすすめ、解決を図る治療法ですから、様々な種類があります。ただ、最初にあげる「カウンセリング」は悩みや症状そのものを直接解決するというよりも、物事の考え方や行動を変え心の問題に対処できるよう精神的な自立・成長を促す最も基本的な方法です。そのため、すべての精神療法にとって普遍性を持つものといえます。

心に働きかける治療法(精神療法、心理療法)として
代表的なものは、次のようなものがあります。
カウンセリング
カウンセリングとは、精神科医やカウンセラーなどに悩みを話し、心理的な援助を受けるうちに、自ら物事の見方や考え方、行動を見直し改めることにより、問題を解決する能力を身につけていくことを前提としています。
したがって、本人が直面している問題をどう解決するのか、または、解決のための具体的な方策を与えるといったアドバイスではなく、あくまでも本人自らが自己洞察し、成長する手助けをしていくものです。
一般的に広く心の病気に用いられますが、治療の基盤作りとしての役割が大きく、きちんとしたカウンセリングは、1回につき1時間ぐらいの時間をかけて行います。専門的なカウンセリングを希望する場合は「誰が、どのくらい時間をかけ、料金は」などを、事前に確認しましょう。
家族療法
家族の中の1人に現れている精神症状や問題行動を、その人を取り巻く家族関係(人間関係)の中で起きてくる現象と考え、治療者のアドバイスのもとで「患者さんと家族が、ともに治療する」ための方法です。
これは家族が持っている力を引き出し、将来に向け「どのように力を結束させていけば問題が解決されるか」という点に力が注がれます。家族内の力関係、各家族成員の役割変化、家族成員ひとりひとりの内的変化がうまく起こることによって、一番問題になっていた本人の症状が改善されていきます。
本人のみに対する治療(個人精神療法)だけで問題解決すると考えるよりも、家族全体の問題として捉えることが、心の病気では非常に大切なことなのです。
指示的精神療法
統合失調症など、妄想や幻覚を伴う精神病に用いられます。
病気が回復に向かい、実社会に復帰する過程で起きる現実的問題に適応していくための援助法です。本人が現実に直面したために起こる混乱や葛藤を、治療者が受け止めて、友好的な態度で緊張をほぐし、じっくり話を聞きながら、一つひとつの現実的問題に指示を与えていきます。
精神分析的精神療法
「人間の心には、自覚することのない無意識の部分があり、この働きが夢の内容や意識にも影響を及ぼし、症状も本音が無意識の中に抑圧されることによって現れる」。
精神分析療法は、有名な精神科医フロイトの、この理論をもとに始められた治療法です。
本人は長いすに横になった状態で、心に浮かんでくることをすべて言葉にして、医師に伝えます(自由連想法)。これを続けることで、患者さんの無意識の中に抑圧されたメッセージが意識に現れ、言葉として語られるといわれます。
現在は、独自に手を加えた精神分析的精神療法を行うことがほとんどのようです。精神分析にはいろいろな流派があり、治療者によって考え方に多少の差があることを認識しておきましょう。
認知療法
認知療法は、気持ちが下向きになるたび に立ち止まり、心の軌道修正を行いながら、気持ちを上向きにするという治療法です。
うつ病の患者さんは、物事をすべて否定的に捉えます。「なぜ、こんなこともできないのだろう」と考え、次に「それは自分がダメな人間だからだ」と、はじめに浮かんだ考えを悪いほうに悪いほうに考えて行きます。
気持ちが動揺したら「なぜ、このように否定的に考えるのか。否定的に考えることのメリットはあるのか」と、自分の考えたことを追及します。自分自身を客観的に考えるように導いたり、最後は「別の考え方がないだろうか」と柔軟な考え方を見つけ出すよう心の軌道修正していきます。
行動療法
行動療法では、本人の問題とされる症状や行動が、これまでの生活体験の中で獲得したものだと考えます。そこで、どのようなものが身についているのかを解明し、今後どんな体験を与えると望ましい考え方や行動を身につけて、症状や問題行動をなくすことができるのかを考えます。
主に薬物依存症、アルコール症、恐怖症などに用いられます。
認知行動療法
苦手なことをしなければならないとき、ペースが落ちたり、はじめからあきらめたりすることがあると思います。認知行動療法は、こうした「苦手だ」という、問題の起因となる考え方を修正することを基本に問題解決能力をつけていく方法です。
芸術療法
自己表現促進法の一つ。言葉で自分の状態をうまく表現できない児童・年少者、言語的精神療法に不向きな患者さんなどが対象となります。芸術という方法を通して本人の内面にあるものを外に出し、精神的な効果を得る療法です。
自己の表現したものを改めて見直すことで、自分の持つ問題をクリアにして客観的に捉え、なぜ、その問題が起きているのかを考える道筋にもなります。
また、表現することで表に出なかった感情を解放することができ、喜びや充実感も得られます。
絵画療法、箱庭療法、音楽療法、ダンス療法、書道療法などといった技法があります。
集団精神療法(グループ療法)
同じ症状を持つ3〜4人ぐらいの小グループを作り、1〜2人の治療者が参加します。そこで自分の病気や悩み、性格、考え方などを自由に話します。こうすることで、自分だけが悩んでいるのではないこと、自分の話や考え方が他人の助けになることなどを体験します。
そして苦しみを共有し、理解者が他にもいることを認識することにより、自分の殻から抜け出る、治療に意欲的になるなどの要素が引き出せます。
統合失調症、アルコール症、薬物依存症、恐怖症、うつ病、摂食障害などに多くに用いられます。

 
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