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その時代や社会的背景による心理的要因が引き金となる場合が多い○○症候群。
大きなくくりなら、○○には「ストレス」という言葉が当てはまるのではないでしょうか。
1970年代半ば、アメリカでは医師や看護婦、教師、ソーシヤル・ワーカーなどの専門職の人が疲れを訴えたり、無感動や無気力などの心身症状を訴 えるケースが増加しました。そのきっかけとなったのが1971年の、ベトナム戦争に従軍したカレー中尉がベトナム人を殺害した責任を問われた事件です。
中尉は「上官の命令に従っただけだ」と主張しましたが、有罪判決が下りました。ところが、このとき行なわれた世論調査では、75%の人が有罪判決に反対でした。国のために自らを犠牲にして戦ったのに、その苦労が報われなかったことになるからです。
この事件が「社会の要請を受けて精一杯頑張ってきたのに、その労苦が報われない」との風潮を広げることになったのです。これが今でいう「燃え尽き症候群」と呼ばれる現象の発端でした。
この例のように症候群とは、その時代の社会背景の中から生まれたものが多いようです。そして、その時代が移ると新しい症候群が生まれるという傾向が見られます。また、名称の面白さがマスコミに取り上げられて、一般の人の関心を引くようになることもあります。かつて話題となった、ピーターバン・シンドロームや青い鳥症候群はこの例です。
さらに、少数の事例であっても、その時代を先取りするような形で広まっていくこともあります。
では、現代の代表的な症候群をいくつか紹介しておきましょう。
燃え尽き症候群
高い理想に燃え、仕事に真剣に取り組んでいた人が、自分がどんなに努力しても期待どおりの結果が得られないとわかったとき、その目標を見失い、精神的・身体的な「燃え尽き状態」になる現象。
出勤困難症
会社に行こうとしても行けなくなる。
テクノストレス症候群
コンピュータ会社のストレスが生む現代病。
情報洪水症候群
あふれる情報に溺れる。
荷おろし症候群
難関を突破して希望の大学や会社に入った新入生や新入社員が、5月頃になると仕事や勉強に身が入らなくなり、無気力な状 態に陥ってしまうこと。いわゆる「五月病」。
被虐待児症候群
親の暴力や虐待により、子どもに一生残るような傷を負わせるような、こうした子どもに対する暴力や虐待行為を「被虐待児症候群」と呼ぶ。
思春期挫折症候群
神経症や抑うつの症状、家庭内暴力や登校拒否、家出などの逸脱症状、思考障害、意欲障害、退行などの兆候。
空の巣症候群
空虚感、無力感、不安感などにとらわれ、ひどくなると神経症やうつ症などの症状が現れる。
アパシー・ シンドローム
中学生から大学生くらいまでの学生が、理由もなく学校に行く気力や勉強への意欲をなくしてしまう症状。
ピーター・パン・ シンドローム
物語の主人公ピーター・パンのように、いつまでも子どものようでいたいと願い、大人になりきれすに社会適応ができない男性の症状。
青い鳥症候群
メーテルリンクの『青い鳥」にちなんでつけられたもの。今の自分は本当の自分ではないと思い、自分という青い鳥を探し求めて、行きつ戻りつする状態。
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